建設連合・滋賀県建設組合
建設業では労災リスクが高く、事故への備えが不可欠です。労災対策を怠ると、従業員への補償が難しくなったり、企業の経営に影響が出たりする可能性があります。
この記事では、建設業での労災保険の加入方法、適用範囲、保険料率を分かりやすく解説。複雑になりがちな労災管理には、JCCA滋賀のサポートも活用できます。建設業の労災保険について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
厚生労働省の2023年統計データでは、建設業の労災死者数は223人で全産業中最多。死傷につながる重大事故が多い業種といえるでしょう。ここでは、具体的な労災リスクを解説します。
厚生労働省発表の2023年における建設業の死傷災害発生状況は以下の表の通りです。(※1)
| 事故の型 | 件数 | |
| 1位 | 墜落・転落 | 4,554件 |
| 2位 | はさまれ・巻き込まれ | 1,704件 |
| 3位 | 転倒 | 1,598件 |
| 4位 | 飛来・落下 | 1,234件 |
| 4位 | 切れ・こすれ | 1,234件 |
最多の「墜落・転落」では、高所からの作業員落下などが挙げられます。建設業では、安全ベルト未使用や足場不備が原因で起こりやすい労災の事例です。
他にも、作業員が転倒した重機や落下資材の下敷きになるなど、建設作業には多くの危険が伴います。
建設業は足場設置・重機操作などの危険な作業や、高所や炎天下といった環境での作業が多く、労災事故が多発しています。また、現場ごとに作業員が入れ替わり、安全教育の不徹底や下請けとの連携不足となるケースも。他にも、工期を優先して安全手順を省略すると労災につながります。さらに、労働時間の長さも病気の要因の1つ。働き方改革で労働時間は減少しましたが、依然高水準です。
建設現場では様々な立場の人が働いています。万が一の事故に備える労災保険の対象を確認しておきましょう。
労災保険の対象は原則「労働者」です。事業主に使用され賃金を得る人を指し、正社員やパート・アルバイト、日雇い労働者も含まれます。建設業の労災保険の場合、元請け企業が下請け企業の労働者分も含めて一括で加入します。
建設業の労災保険は、作業場所で適用が区別される点に注意が必要です。
元請け企業が加入する労災保険は、建設現場で働く全ての労働者に適用されます。大工、鳶職人、電気工事士などが対象になるでしょう。
対象は、建設業の事務所で働く事務員や営業担当者。建設現場とは別に、事業所自体が加入することが必要です。
建設業の労災保険における加入義務について解説します。下請けや一人親方の場合でも、必ず知っておきましょう。
建設業の事業主が労働者を一人でも使用する場合、労災保険への加入が義務となります。元請け企業が加入を怠り、事故が発生すると、遡って保険料を徴収されたり、追徴金が課されたりします。労働者災害補償保険法違反で懲役や罰金刑のおそれも。
また、元請け企業は、下請け企業や現場作業員の社会保険加入の確認・指導の責任があると国土交通省のガイドラインに記されています。
同じ建設現場で働く下請けの労働者は、元請けの労災保険対象です。下請けの労働者は自ら労災保険に加入することはなく、原則として保険料の負担もありません。しかし、社長や役員は適用外です。また、下請け企業は自社雇用労働者の社会保険加入確認や、元請け企業の指導への協力責任があります。
一人親方については、労働者とみなされず、本来労災保険に加入できません。ただし保険未加入の一人親方の現場入場を認めない元請け企業もあります。
ここからは、保険加入していない一人親方に対しての制度について説明します。
特別加入制度は、労働者を使用しない、または年間使用日数が100日未満の一人親方が対象。加入手続きは、自身で行う必要があり、「特別加入団体」を通じた申請が必要です。新規団体設立か、既に承認された団体経由の2通りが選べます。
建設業の一人親方が労災保険に特別加入すると、他の労働者同様、仕事中のケガや病気は補償されます。労災保険に加入していれば、元請け企業がある建設現場の仕事も請け負いやすくなるでしょう。
JCCA滋賀には「一人親方部会」があり、組合経由で労災保険に加入できます。建設業の一人親方の労災保険料を計算したい時は、WEBサイトでシミュレーションも可能。一人親方で労災保険加入を考えている方は、ぜひお問い合わせください。
CV:一般社団法人 滋賀建設組合(JCCA滋賀)│一人親方部会
https://jcca-shiga.com/oyakata
建設業の労災保険の金額は、労働者の賃金総額に保険料率を掛けて計算します。その保険料率について見ていきましょう。
厚生労働省が過去3年間の災害発生状況等を考慮し、事業の種類ごとに労災保険料率を決定、3年ごとに改定します。建設業では、事業場の災害発生状況に応じて、保険料率が増減する「メリット制」が適用されるケースも。メリット制適用時は、保険料率が記載された「労災保険率決定通知書」が送付されます。
建設業の労災保険料率は厚生労働省によって定められており、2025年度は次の表の通りです。(※2)
| 現場・事業の種類 | 労災保険率 | 請負金額に乗ずる労務費率 |
| 水力発電施設・ずい道等新設事業 | 34/1,000 | 19% |
| 道路新設事業 | 11/1,000 | 19% |
| 舗装工事業 | 9/1,000 | 17% |
| 鉄道または軌道新設事業 | 9/1,000 | 19% |
| 建築事業 ※既設建築物設備工事業を除く | 9.5/1,000 | 23% |
| 既設建築物設備工事業 | 12/1,000 | 23% |
| 機械装置の組立てまたは据付けの事業(組立て又は取付けに関するもの) | 6/1,000 | 38% |
| 機械装置の組立てまたは据付けの事業(その他のもの) | 6/1,000 | 21% |
| その他の建設事業 | 15/1,000 | 23% |
建設業の中でも、現場や事業により労災保険料率・労務費率が異なります。また、一人親方の特別加入保険料率は17/1,000です。(※3)
ここからは、建設業の労災保険の加入手続きについて解説します。
労災保険に加入するには、まず元請け企業が工事開始翌日から10日以内に「保険関係成立届」を労働基準監督署へ提出します。その後、「労災保険関係成立票」に保険関係成立年月日や労働保険番号等を記載し、見やすい場所へ掲示しましょう。同じく、建設業許可票や建築基準法による確認済表示板にも掲示義務があるため注意が必要です。
建設業は労災保険と雇用保険を分けて申告・納付する「二元適用事業」に該当します。この場合、「保険関係成立届」の他に「概算保険料申告書」の提出が必要です。請負金額が1億8,000万円未満などの条件がある「一括有期事業」と、それ以外の「単独有期事業」で提出期限が異なるため注意しましょう。
最後に、建設業の労災対策のポイントをまとめました。労災保険の手続きや事務処理をサポートする、JCCA滋賀のメリットについてもご紹介します。
元請け・下請け・一人親方の3つのケースにおいて、ポイントを確認しましょう。
・工事開始時、建設現場の労災保険に必ず加入
・建設業では「労災保険関係成立票」の掲示が義務
・選定候補の下請け企業や現場作業員の社会保険加入状況を確認
・事務所などに労働者がいる場合、事業所で労災保険に加入
・労災保険の補償を受ける際、建設現場の元請けの労働保険番号を記載
・事務所などに労働者がいる場合、事業所で労災保険に加入
・労災保険が適用されない社長・役員が現場に入る際は、特別加入制度を利用
・自身で手続きを行い労災保険に特別加入する
・特別加入するため、特別加入団体をつくるか既に承認された団体を探す
JCCA滋賀では、以下のようなサポートをしています。
・労災保険に関する事務手続き
・労災保険料の計算・納付
・一人親方の労災保険特別加入
元請け企業が加入する建設現場の労災保険から事務所労災まで取り扱っており、事務委託を利用することで、保険料の3期分納も可能。委託範囲が幅広いため、手続きや事務処理に悩む方におすすめです。
今回は、建設業の労災保険の適用範囲や手続きについて解説しました。元請け・下請け・一人親方それぞれのポイントを確認し、必ず労災保険に加入しておきましょう。JCCA滋賀は労災保険関連事務を代行しています。建設業従事者の一番の味方として、一人親方の労災保険まで手厚くサポート。手続きや保険料で迷ったら、ぜひJCCA滋賀へご相談ください。
一般社団法人 滋賀建設組合(JCCA滋賀)
https://jcca-shiga.com/institute
【参考】
(※1)令和5年度労働災害発生状況の分析等
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099504.pdf
(※2)令和7年度の労災保険率等について
https://www.mhlw.go.jp/content/roumuhiritu_r05.pdf
(※3)特別加入保険料率表
https://www.mhlw.go.jp/content/tokubetsukanyuuhokenryouritsu_R0504.pdf