建設連合・滋賀県建設組合ロゴ建設連合・滋賀県建設組合

「一人親方が一人親方を雇う」とは?注意点とトラブル回避方法を解説

2025年11月12日 カテゴリー:お知らせ


一人親方が一人親方を雇う際には、どのような点に注意したら良いのでしょうか?基本的に単独で仕事を請け負わなければならない「一人親方」。案件の増加や繁忙期など、他の一人親方に仕事を手伝ってもらうケースもあるでしょう。しかし、一人親方が人を雇うにはリスクが伴います。

そこで、一人親方同士の雇用の注意点と対策を徹底解説。リスク軽減のために【JCCA滋賀】への加入がおすすめの理由も紹介します。

一人親方が一人親方を雇うとは?


一人親方は、単独で仕事を進めるのが基本です。しかし、繁忙期に一人親方仲間に手伝ってもらったり、アルバイトを臨時雇用したりする場合もあります。

一人親方は個人事業主のため、常用契約を結ぶことはできません。一人親方に仕事を依頼する場合、請負契約を結ぶ必要があります。請負契約とは、就業時間や仕事の進め方を制限せず、納期までに契約内容の仕事を完成させることで報酬が発生する仕組みです。

一人親方が一人親方を雇うメリットとデメリット


次に、一人親方が一人親方を雇うメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット


一人親方として仕事をしている以上、高い技術や経験を持っていると考えるのが自然です。よって、教育や研修コストを抑えつつ、即戦力となる人材を確保できる可能性が高いと言えるでしょう。

また、柔軟な稼働体制を構築しやすいという点も魅力です。雇用契約を結ぶ従業員とは異なり、請負契約であれば、特定のプロジェクト期間のみ、あるいは必要なときだけ業務を依頼することができます。

デメリット


一方で、一人親方を活用する際にはいくつかのデメリットも考慮しなければなりません。まず挙げられるのが、トラブル発生のリスクです。例えば、トラブルの原因として、労災事故が発生した場合の責任の所在や保険適用範囲などが考えられます。

また、請負契約の場合、業務内容、期間、報酬などを個別に契約書で明確に定めることが必要です。契約内容に不備があると、後々法的なトラブルに発展しかねません。

一人親方が人を雇う際に知っておくべきこと


一人親方が人を雇う際には、リスクがあることは事実です。トラブルを防ぐためにも、正しく理解しておきましょう。

労災・社会保険・雇用保険問題


一人親方が、1年間のうち100日以上労働者を使用した場合、労災保険の特別加入条件に違反します。また、雇用契約を結ぶ場合も同様に、労災保険の特別加入条件の範囲外となる可能性があります。年間100日以上労働者を使用する場合、中小事業主向けの特別加入手続きを行いましょう。

ほかにも、社会保険や雇用保険などの手続きが発生します。労働基準監督署やハローワークなど、複数機関での申請作業が必要になる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

税務署・労基署から「偽装請負」とみなされる可能性


一人親方に仕事を依頼する場合、契約内容によって「偽装請負」とみなされるリスクがあります。前述の通り、個人事業主である一人親方に仕事を依頼する場合、基本的に「請負契約」です。

しかし、請負契約をしたにもかかわらず、雇用契約の内容になっているケースもあるのが現状です。一人親方が、仕事の進め方や就業時間の制限がある・依頼を断る自由がない場合などは、偽装請負とみなされる可能性があるため注意しましょう。

罰則やペナルティの事例


一人親方と常用契約を結ぶことは、労働者派遣法に抵触します。無許可での労働者派遣事業に該当し、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

過去に、偽装請負とみなされた事例の一つが「ナブテスコ事件」です。原告は、業務委託契約に基づき、被告会社の子会社に勤務。親会社班長指示のもと、業務上、従業員と同等の仕事を行っていました。「ナブテスコ事件」の判決は、形式的な契約だけでなく、実質的な労働の実態によって偽装請負と判断される可能性を示しています。

一人親方が一人親方を雇うときに守るべきルール


では、トラブルを防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、一人親方が一人親方を雇う際に守るべきルールを紹介します。

一人親方の雇用形態は「委任契約」または「請負契約」にする


一人親方と一人親方の関係は、「雇用」ではなく「請負」です。一人親方としての独立性を失わないよう、契約を結ぶ際は、「請負契約」または「委任契約」を結びましょう。請負契約と委任契約の違いは、以下の通りです。

契約の種類 内容
請負契約 仕事の完成を約束し、完成品に対して報酬を支払う
委任契約 完成を問わず、一定の事務処理行為に報酬を支払う


契約書作成時には、作業内容や範囲を具体的に書きましょう。

また、工期や責任の所在、トラブル発生時の対応フローも明確に記載するのがポイントです。契約を結ぶ相手の保険加入証明書の確認も忘れずに行ってください。

労働時間・指揮命令に注意する


偽装請負を避けるためにも、労働時間の制限や指揮命令には気を付けましょう。国土交通省の「みんなで目指すクリーンな雇用・クリーンな請負の建設業界」の資料を参考に、雇用契約になっていないか確認できるチェックリストを作成したので、ご活用ください。

・毎日の仕事量や進め方に関する指示をしない

・就業時間を定めていない

・依頼を受ける人の都合が悪くなった際、代役を立てることを認めている

・依頼を受ける人がほかの業務に自由に従事できる


以上の項目において、すべて「〇」となる契約内容にしましょう。

一人親方がアルバイトを雇う場合は?


続いて、一人親方がアルバイトを雇うケースを見ていきましょう。

アルバイトの雇用・一人親方契約の違いは?


一人親方がアルバイトを雇う場合と、別の一人親方と請負契約を締結するのでは、どちらが良いのでしょうか?それぞれの違いを表にまとめました。

  アルバイト 一人親方
契約形態 雇用 請負(業務委託)
指揮命令関係 あり(雇用主→従業員) 対等
責任の所在 雇用主 自己責任
社会保険 一定条件で加入義務あり 原則として加入義務なし
労災保険 年間100日以上アルバイトを雇用する場合、中小企業主として労災保険の特別加入を行う それぞれ労災保険の特別加入を行う


アルバイトを含む雇用契約は、一人親方にとって従業員の給与明細の発行や税務関連の手続きなどの労務管理の負担が増えます。

その一方で、指揮命令系統が明確になりやすいという側面があります。請負契約は労務管理の負担は少ないですが、業務の指示や成果物の品質管理などが難しくなるケースも。事業の形態や必要とする業務内容、労務管理の負担などを考慮して、慎重に判断しましょう。

【アルバイト雇用】契約書作成の重要性と注意すべきポイント


一人親方がアルバイトを雇用する際、労務トラブルを防止するために、労働条件通知書と契約書の作成が不可欠です。労働条件や賃金、就業規則などを明確に記載し、双方合意の証としましょう。

口頭のみでの約束は、後々のトラブルの火種となる可能性があります。必ず、書面に残し、双方の署名・捺印を行いましょう。

【安心】一人親方同士の契約でトラブルを防ぐには


一人親方が別の一人親方に仕事をお願いするために大切なのは、事前の準備と相互理解です。曖昧なまま進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展しかねません。

ここでは、一人親方同士の関係でトラブルを防ぎ、安心して仕事を進めるための具体的な方法をご紹介します。

テンプレート例あり|契約書を必ず作成する


アルバイト雇用と同様、一人親方に仕事をお願いする場合も「契約書」の作成は必須です。一人親方同士が請負契約を結ぶ際の基本的なテンプレート例をチェックしましょう。

【請負契約書(例)】


第1条(業務委託・請負契約)

甲(委託者)は、乙(受託者)に、下記の業務を委託する。

(具体的な業務内容を記載:例:〇〇工事における〇〇作業一式)



第2条(契約期間)

本契約の期間は、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までとする。



第3条(報酬)

甲は乙に対し、本業務の対価として金〇〇円(税抜)を、〇〇日までに乙の指定する銀行口座に振り込むものとする。

(支払い方法、支払い期日などを具体的に記載)



第4条(成果物の権利)

本業務により生じた成果物に関する一切の権利は、甲に帰属するものとする。



第5条(秘密保持義務)

乙は、本業務遂行中に知り得た甲の機密情報を第三者に漏洩してはならない。



第6条(契約の解除)

甲または乙は、相手方に以下の事由が生じた場合、書面による通知をもって本契約を解除することができる。



第7条(協議事項)

本契約に定めのない事項または疑義が生じた場合は、甲乙誠意をもって協議し、解決するものとする。

専門家(社労士・弁護士)に相談する


契約を締結する際は、第三者機関に相談するのも一つの手です。相談先の例として、社労士(社会保険労務士)や弁護士が挙げられます。社労士は、労働や社会保険に関する相談が可能です。

また、契約書作成時には、弁護士に相談することで、法的なリスクを軽減できます。契約書の内容によっては、不利益が生じる可能性もゼロではありません。もしもに備えて、第三者機関に相談しておくことをおすすめします。

「JCCA滋賀」に加入する


一人親方が人を雇う際には、さまざまな手続きが必要となります。JCCA滋賀は、労災保険や雇用保険など、保険に関する手続きの委託が可能です。条件に合った労災保険の加入や書類提出など、難しい手続きは、JCCA滋賀にお任せください。正しい手続きをして、契約後のトラブルを防ぎましょう。

事務の委託のほかにも、一人親方部会やこくみん共済COOPなど、さまざまな団体と連携しており、組合員の地位確立や社会保障制度の充実を目指せます。一人親方として安心して働けるよう、滋賀県内または近隣府県にお住まいの方は、ぜひJCCA滋賀への加入をご検討ください。

正しい知識で一人親方を雇おう


一人親方が一人親方を雇う際、正しい契約方法や内容の選択ができるよう、正しい知識を身につけなければなりません。本記事を参考にして、偽装請負や相手方とのトラブルを防ぎましょう。とはいえ、契約期間や人数など、条件によって手続きが異なります。そこで役立つのが、「JCCA滋賀」です。トラブル回避のため、まずは「JCCA滋賀」への加入を検討してみてください。